マイクロソフトのライセンス形態についての話

2010年9月19日
※改めて自分で読み直してみて、さらに大人げ無い表現に関して、少し修正しました。

この間マイクロソフト社員と話す機会があって、ライセンスの使い方についてアレコレ聞いてみたので今回はその話を書こうと思います。とりあえず先に書いておきますが、マイクロソフトのライセンス形態はかなりややこしいです。ハッキリ言って社員でも間違えます。そして僕も間違えているかもしれません。また、それぞれのバージョンによっても制限がかなり違います。
例えばターミナルライセンスなんかはWindows 2000 Serverの頃は無償提供でしたがWindows Server 2003になってからは有償になっていますよね。実際の運用で使う場合には事前にベンダーや販売店に問い合わせてください

あと、強調しておきたいのは、ライセンスについては微妙な部分が多いので、多分駄目だと思うけどこれってどうなんだろう?って部分はあえて聞かない方が良いと思います。
ほとんどの場合、”これって大丈夫なのかな?”って部分は駄目ですから。それに問い合わせてみて

「必要です。」

と言われれば購入せざるを得なくなりますから。

予め検証環境を準備し、必要なライセンスを確認してから実環境で動作させるようにしましょう。

とりあえず今回は通常購入可能なライセンスからボリュームライセンスについて書きます。2回目以降でSelect LicenseやEnterprise Agreement、Desktop Proについて書きたいと思います。ボリュームライセンスについて学ぶにはここを参考にすると勉強になります

WindowsOSのライセンス

通常パッケージ版について

他ライセンスに比べて明らかに値段設定が高く設定されているライセンス形態がパッケージ版です。リテール版とも言います。大手電機量販店なんかで扱っている化粧箱に入っているWindowsOSがこれです。
以下に記載するOSの販売形態と比べて、ほぼ使いたいように使えるライセンス形態です。ただしアクティベーションが必要なので同じプロダクトキーで複数の端末にOSを展開する事は出来ません。

プリインストール版、OEM版について

一般的なユーザならWindowsOSのライセンスは気にしないですよね。パソコンを買うとだいたいWindows XP搭載!とかWindows Vista搭載!とか書いてありますから。

パソコンを電気量販店で購入した時に、既にインストールされているWindowsがプリインストール版と呼ばれるライセンス形態で販売されたものです。この形態で販売されているWindowsOSはプリインストール版とかOEM版とか呼ばれます。

OEM版の見分け方は、コンピュータにログインした後、

“マイコンピュータ”を右クリック→”プロパティ”→”全般”タブの中

のユーザ名・会社名の後に文字列があると思います。この文字列の中に”OEM”という言葉が混じっていた場合、OEM版です。

プリインストール版のWindowsOSはパソコン本体と運命を共にします。このパソコンが古くなった時にOSだけ乗せ換えて使うのも駄目ですし、購入したパソコン本体が古くなった場合に、バンドルされていたプリインストール版のWindows OSを新しいハードウェアに載せ替えて利用する事は出来ません。
本々インストールされていたパソコンを捨てた破棄した段階で、OSを使用する権利も失ってしまいます。

いわば使い捨てOSです。この使い捨てOSを救済するためにはアップグレードするしか無いんですが、プリインストール版のWindowsOSに対して、アップグレード版のWindowsを後から購入したアップグレードを実行しても、元々の販売形態がプリインストールの場合、アップグレード後もOSを別の端末に乗せ換えたりするとライセンス違反になるようです。・・・救済になってないな、これは。

プリインストール版のWindowsはパッケージ版のアップグレード用Windowsを購入してアップグレードすることは出来ますが、その後、新しいパソコンを購入した際にプリインストール版のWindowsが搭載されていない場合には、上記で購入したパッケージ版のアップグレード用Windowsを利用する事はライセンス違反になります。

DSP版について

パソコンショップなんかでCPUやメモリ、HDD、FDDと一緒に購入する事が出来るWindowsOS、これをDSP版Windowsと言います。パソコンを自作する人ならこのバージョンを購入する事が多いんじゃないかなと思います。
DSP版もOEM版と同じでハードウェアと抱き合わせる感じで販売されています。ライセンス形態もOEM版と同じでハードウェアと運命を共にし、単体でOSを使用する事は駄目ですし、ハードウェアを破棄した場合にはOSを使う権利も失ってしまいます。
ただし、FDDなどと一緒に購入する事も可能ですのでFDDだけ新しいPCに乗せ換えれば使えます。

VL版ボリュームライセンスについて

ボリュームライセンス(VL)版は5ライセンス以上から新規購入可能な形態で、一枚のインストールメディア、単一のプロダクトキーから複数の端末に展開する事が可能です。
例えばMicrosoft Open Valueを利用してライセンスを購入した場合、初めに5ライセンス以上購入すると、次から1ライセンスずつ購入可能ですする事が出来ます。
ボリュームライセンス版のWindows XPはアクティベーションがありません(Windows Vistaはボリュームライセンス版でもアクティベーションがあります)。
怪しいサイトでよく見かけるWindows XPはだいたい横流しされたVL版だったりするわけです。

VL版はアップグレード版しか存在しませんのみ存在します。ですのでインストール対象の端末に既にWindowsOSが何らかの形でインストールされていなければなりません。
古いバージョンのOSがインストールされているパソコンのOSを新しくするためだけにしか使えないわけです。Windows 2000からWindows XPにアップグレードする場合にはこのライセンス形態も意味を成し得た可能性もありますが、Windows XPからWindows Vistaにアップグレードする場合には正直要求スペックが違い過ぎるので微妙だと思います。

※最近のボリュームライセンス版Windowsはパッケージ版との差別化のために仮想インスタンス利用のための権利等をライセンスではなくSA(ソフトウェアアシュアランス)にバンドルさせた形で付与しています。

OEM版Windowsからは、のアップグレードも、ちょっと記憶が曖昧なんですが、たしか新規端末購入後3ヶ月程度過ぎると出来なくなります。しかも別のパソコンにライセンスを移すことが出来ません。90日以内にSAを付与する事でアップグレードする事が出来ます。

VL版を購入しても結局OSがプリインストールされている端末を購入しなければならないという謎の仕様なわけですが、Windows Vista EnterpriseはVL+SA(ソフトウェアアシュアランス)という購入方法でのみ提供されます。
Windows Vista EnterpriseはHDD丸ごと暗号化するWindows BitLockerっていう機能が標準で搭載されているんですが、いかんせん敷居が高すぎると思うんですけどもね・・・。Vista Ultimateだと一括展開が面倒みたいですし・・・。

結局のところとしては、SAを利用してもらって、定期的にライセンス費用をMicrosoftに支払ってもらえるようにしよう。という事だと思います。

3 COMMENTS

toorisugari

> これはウソでしょう.ハードウェアはメーカーから買ったものです.
ソフトウェアについて言及してるのに何故ハードウェアの話が出てくるのか?

ハードウェアに付属するソフトウェアは、ハードウェアの製造元に対してライセンス(使用許諾)を購入しています。
ソフトウェアそのものは買っていませんし、ソフトウェアはハードウェアに対してライセンスされるもので、分離は許されません。

> 改めて自分自身で読み直してみたところ、たしかに分かりにくい表現でご迷惑おかけしました。
修正前の表現でも、特に問題ないと思いますが。

pnpk

>suomiさん
こんばんは、コメントありがとうございます。

おっしゃる通り、ハードウェアに関しては特に制限無く利用することが出来るという事で問題無いと自分も思います。

意図したかったものとしては、プリインストール版のWindowsOSだけ新しく購入したパソコンにインストールするのがダメですよ。という事だったのですが、改めて自分自身で読み直してみたところ、たしかに分かりにくい表現でご迷惑おかけしました。

後程補足を追記したいと思います。

よろしくお願いします。

suomi

>>プリインストール版のWindowsOSはパソコン本体と運命を共にします。このパソコンが古くなった時にOSだけ乗せ換えて使うのも駄目ですし、

これはウソでしょう.ハードウェアはメーカーから買ったものです.
使用権云々ではありません.
Linuxでもなんでも使えます.

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