Quad Cortexのエフェクター名は商標の都合でオリジナルデバイスをイメージ出来る名称が付けられています。
例えば、BOSS DS-1はChief DS1に、ProCo RatはRodent Driveという具合です。Quad Cortexは現在これらの名称をXMLデータで定義しているため、このXMLファイルを直接編集することで、任意の名称に偏向する事ができます。
今回は、このXMLファイルを書き換える方法について書きたいと思います。と言っても、Raspberry PiなどのLinux OSが稼働している端末があればものすごく簡単です。
動作はCorOS 2.3.1で確認しています。
注意事項
事前にmicroSDカードのバックアップは必ず取ってください。さらに新しいmicroSDカードを用いて必ずリカバリを試し、新しいmicroSDカードでQuad Cortexが起動する事を確認してから新しいmicroSDカードで作業は行なってください。
作業が失敗しても、元の状態に戻れるようにしておく事が大切です。
作業に失敗するとデータが破損し、Quad Cortexが起動しなくなります。
個人で楽しむ用途で。もちろん、この作業を行なって生じた一切の損害の責任は負いませんのでよろしくお願いします。
バックアップ手順
MACOSの場合はQuad CortexのmicroSD Cardのバックアップ手順と選び方を参照してください。Raspberry Piの場合もddコマンドでバックアップは取得できるはずです。
OpenCortexについて
この分野の研究はOpenCortexというプロジェクトが行なっているようです。すでに色々な研究の成果やツール、エフェクター名の変更方法についても記載あります。今回はデバイス名の書き換えのみ説明を行なっていますが、OpenCortexにはrootでsshログインする方法などについても記載があります。
Quad Cortex内部により深い興味があれば覗いてみると良いと思います。
作業に必要なもの
何度もくどいと思いますが、作業するmicroSDカードは必ず複製した新しいものを使ってください。将来的に改変されたmicroSDカードからアップデートが出来なくなる事もあるかもしれませんし、そもそも作業に失敗すると起動しなくなってしまうかもしれません。
- 新しいmicroSDカード(事故防止のため、オリジナルのmicroSDのファイルは絶対にいじらないこと)
- Raspberry Pi(またはUbuntu等が動作するパソコン)
- Raspberry Pi周辺機器(マウス、キーボード、モニターなど)
- microSDカードリーダー
作業は特にRaspberry Piでなくても問題ないです。ただし、OS毎にコマンドなどは多少異なっている可能性あるのでその辺は適宜読み替えて作業してみてください。Raspberry Pi一台持っていると、コンパクトですし、ちょっとした作業に使えるので結構便利なのでお勧めです。
デバイスリストを書き換える
Quad Cortexのデバイスリストは/opt/neuraldsp
にあるModelRepo.xml
というファイルです。
要するにこのファイルをRaspberry Pi経由で書き換えてmicroSDに上書き保存すれば良いだけです。
Raspberry Piなら、Windowsで言うところのエクスプローラ(PCMan File Manager)でほぼ作業は完結します。
ただし、microSDカードの上記パスにアクセスしようとするとアクセス権限で拒否されてしまうので、ターミナルを開き、以下のコマンドで管理権限で起動してください。
そうすれば、GUIからmicroSDカードの内部にアクセス出来るので簡単にファイルを探して編集出来ると思います。
sudo pcmanfm
あとはファイルをテキストエディタで開いて、好きな名称に変更して上書き保存すればOKです。
スクリプトによる一括編集
OpenCortexは一括編集出来るPython用のコードを準備してくれていて、それを実行すると楽にデバイス名の変更が可能です。ただ、リポジトリを見る限り少し前で更新が止っているように見えるので、最近のバージョンに対応しているかは不明です。
もしかすると想定しない名称になってしまう可能性はあるかもしれませんが、それも踏まえて実行してみるようにしてください。
上記リンクからmodel_renamer.py
とmanual_override.json
を任意の場所に配置して以下のようにコマンドを実行すると自動的に名称を置き換えてくれます。Raspberry PiならデフォルトでPythonがインストールされているのでそのまま実行出来るはずです。
python model_renamer.py --original ModelRepo.xml --out ModelRepo_rename.xml
自動置き換えを行うとこんな感じに一括で書き換えてくれます。
あとは、ファイルを編集し、microSDカードに保存したらQuad Cortexに差し込んで起動するか確認してみてください。
1点、説明の中にBased on Roland JC-320という記載があるのですが、これはJC-120の間違いなのか、はたまたそういう実機があるのか、詳しい方もしいらっしゃったら教えてください。
それ以外は一部ダブルクオートがシングルクオートに置き換わっていたりありますが、ざっくり動作確認してみましたが、特に動作には支障無さそうです。